PjAニュース
No. 003

下﨑 寛

土地評価コラム

東京地裁は令和5年8月31日、東京都知事が土地課税台帳に登録した価格について争われた事案で、納税者側の主張した適正な時価を認め、それを超える部分の価格を取り消す判決を下した。

要旨

事案の内容は、大手ホテルチェーンX社が所有している土地について、

建築基準法52条に規定される容積率が1300%であるが、都市計画法の特例容積率適用地区に指定される特例容積率が1140%に限定されていた。

その土地の評価において、平成24年では、特例容積率の限度指定を減価要因として評価されていなかったので、X社は、固定資産評価基準の評価方法が誤りがあるとして東京地裁に訴訟を提起し、平成30年10月5日に納税者の主張が認められ東京都が敗訴した事件があった。

その後、X社は平成27年、平成30年に東京都の評価方法を確認したところ、東京都の評価の方法が画地計算法を適用して、1300%の標準宅地の価格をベースに土地価格比準表に基づく格差率を用いて評価していたことから、その画地計算法での評価方法を採用することは誤りがあり、1140%の土地そのもの評価すべきであると主張し、再び訴訟を提起した。

その結果、X社の主張が認められ、X社が勝訴した事件である。

小括

今回の事件は、評価方法の違いを問題としたものであるが、固定資産税評価を熟知した不動産鑑定士しか判定できない専門家の判断である。

したがって、固定資産税における土地評価については、路線価の高い地域の土地評価においては、専門家である不動産鑑定士を活用すべきであろう。

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